足利市内で不動産売買をするとき、物件が売れたそのものの金額を受け取る(売却時)、もしくは物件購入そのものの金額を支払う(購入時)、以外にも、さまざまな経費(諸費用)がかかることをご存知ですか?
不動産売買の価格そのものだけをイメージして計画していると、焦ってしまうことも!
今回は、不動産売買時の諸費用の中から「仲介手数料」にスポットをあて解説して参ります。
| 仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産の取引の際、売主と買主の間に入り、調査や広告・案内、意見の調整や契約事務などを行う不動産会社(仲介会社)に報酬として支払う手数料のこと です。
仲介手数料は、取引が成立した時点で支払う成功報酬ですので、物件の情報や売却先探しを依頼するだけでは仲介手数料は発生しません。
| 報酬額の制限
報酬の額は、媒介契約または代理契約において、依頼者と宅地建物取引業者の間で約定されます。
宅地建物取引業法において、報酬の額の上限を国土交通大臣が告示で定めるものとし、業者はその告示の規定を超え報酬を受けてはならないという制限を課しています。
(報酬額の制限)これに基づいて定められているのが、国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」です。
| 報酬額についての告示
国道交通省の報酬額についての告示内容は、下記リンクをご確認下さい。
🔗国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関
| どんなときに報酬が発生するのか?
宅地建物取引業者の媒介または代理により、売買・交換・貸借が成立した場合には、依頼者に報酬を請求することができます。
だたし、宅地建物取引業者自らが売主または貸主として売買・交換・貸借が成立した場合には、その売主または貸主である宅地建物取引業者は、買主または借主に報酬を請求することはできません。
この報酬は成功報酬と解釈されており 、原則として売買・交換・貸借が媒介または代理により成立した場合にのみ報酬請求権が発生するとされています。
| 支払方法も協議
仲介手数料の請求権は、売買契約が成立すると発生します。
一般的には、不動産売買の契約締結時点で引き渡しまで完了していないことが多いことから、契約締結時に仲介手数料の50%を支払い、引き渡し完了時に残りの50%を支払うことが望ましいとされています。
しかし、売買契約成立時に仲介手数料の全額を不動産会社に支払っても、違法というわけではありません。
| 依頼者の一方から受け取ることのできる金額
取 引 額 | 報 酬 額 |
取引額200万円以下の金額 | 取引額の5%以内+消費税 |
取引額200万円を超え400万円以下の金額 | 取引額の4%以内+消費税 |
取引額400万円を超える金額 | 取引額の3%以内+消費税 |
| 例)仲介手数料の計算
→売買価格を次のように分解して計算します
a) 200万円までの部分
200万円 × 5% = 10万円
b) 200万円超 400万円までの部分
200万円 × 4% = 8万円
c) 400万円超 1,000万円までの部分
600万円 × 3% = 18万円
a + b + c = 36万円(別途消費税)
この額36万円に消費税を上乗せした金額が仲介手数料の上限額になります。
※土地と建物の場合は、建物は消費税を抜いた金額から計算します(土地は非課税)
| 消費税も組み込んで速算
仲介手数料を計算するとなると、上記のように3つの価格帯ごとに計算するので、結構面倒です。
そこで通常は、400万円を超える物件については、以下の式で仲介手数料の上限額を速算 することができます。(別途消費税を計算します)
売買価格 × 3% + 6万円
消費税も組み込んで速算
上記でもよいのですが、さらに速算するには、予めそれぞれに「3%」と「6万円」に10%の消費税を掛けておきます。
売買価格×3.3%+6.6万円
| 低廉な空家等の売買・交換に関する特例
報酬額の告示に関して改正があり、これにより、400万円以下の空き家等の売買に関し特例措置が2018年1月1日より施行となりました。
これは、かんたんに言いますと、「400万円以下の不動産売買の際は、売主から受領できる仲介手数料の上限額を18万円(税抜)とする。」といった内容になります。
(買主からの仲介手数料は従来通りの上限額です。)
また、「売買の媒介」だけでなく「交換の媒介」や「売買・交換の代理」にも今回の特例は適用となりますが、交換については「物件価格の高い方が400万円以下」の場合に本特例が適用となるのと、空家が代表的なケースではありますが、それ以外の建物や宅地等の不動産も特例の対象となります。
※「低廉」の読み方は「ていれん」と読み、言葉の意味としては「値段が安いこと」「安価であること」といった内容になります。
| 改正の概要
低廉な空き家等(代金の額が400万円以下の宅地建物)の「売買の媒介」「交換の媒介」「売買の代理」「交換の代理」であって、通常の媒介・代理と比較して、現地調査等の費用を要するものの取引の媒介・代理に当たっては、一定ルールのもと、当該現地調査等の費用の相当額を従来の報酬額に加算することができます。
現地調査等に要する費用を加えた合計報酬額は、18万円+これに対する消費税額を超えてはなりません。 (報酬告示第七・第八)
| 複数の宅地建物取引業者の関与
複数の宅地建物取引業者が一個の売買等の媒介・代理に関与する場合には、報酬額の上限の規定は、それらの業者の受ける報酬額の合計額について適用となります。
| 代理の場合
宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることのできる報酬額の上限は、媒介ケースの2倍の額までです。ただし、売買・交換の相手方からも報酬を受ける場合には、算出した額の2倍を超えてはなりません。(報酬告示第三)
※双方代理は、民法で原則として禁止されていることに注意が必要です。
| 仲介手数料以外の費用等の取り扱い
通常の仲介業務で不動産会社に発生する費用は、依頼者に請求することはできません。
例えば、一般的に行われる広告費用や購入希望者の現地案内にかかわる費用は、売買契約成立時に発生する仲介手数料に含まれるものです。
しかし例外的に、依頼者の特別な依頼に基づき発生した広告費用等の「実費」については、請求することが認められています。
例えば、依頼者の希望で実施した通常の販売活動では行わない広告宣伝の費用、依頼者の希望で行った遠隔地の購入希望者との交渉のための出張旅費などについては、不動産会社は仲介手数料とは別に請求することができます。(報酬告示第九)
ただし、あくまでも
(1)依頼者の依頼に基づいて発生したものであること
(2)通常の仲介業務では発生しない費用であること
(3)実費であること
のすべてが満たされている場合に限定した例外的な取り扱いとなります。
まとめ
仲介手数料については、金額はもちろんのこと、支払い方法についても、物件についての案内・問合せ時や、媒介契約(代理契約)時に、しっかりと確認しておきましょう。
今後も足利市の不動産売買時で役に立つ情報を記事にしていきます。
最後までお読みいただき、有難うございました。
少しでも参考になれば幸いです。